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すき焼きのような一杯。徳島ラーメンの「茶・白・黄」3つの系統と、生卵の必然

目次

徳島ラーメンは「すき焼きみたいなラーメン」

徳島ラーメンは、「すき焼きみたいなラーメン」として語られることが多いご当地麺です。甘辛い醤油ダレのスープに豚バラ肉がどっさり、そこへ生卵を落として白ご飯と一緒にかき込むスタイルが地元流。茶・白・黄の3系統それぞれの個性や、「すき焼き」と呼ばれる理由を掘り下げてご紹介します。

徳島ラーメンってどんなラーメン?すき焼きと呼ばれる理由

徳島ラーメンの基本スタイル

徳島ラーメンは、豚骨ベースのスープに醤油ダレを合わせ、甘辛く仕上げたスープの上に、豚バラ肉の煮込みをたっぷりのせるのが基本スタイルです。太すぎない麺と濃いめの味付けで、ご飯と一緒に食べるのが定番となっています。見た目や味わいがすき焼きを連想させるため、地元では生卵を合わせる食べ方が広く受け入れられています。

スープは豚骨や鶏ガラを長時間炊き出した白濁系がベースで、そこへ地元醤油を使った甘辛いタレを重ねる店が多いです。「白・茶・黄」という系統差はありますが、「豚骨+醤油+豚バラ肉」という骨格は共通しています。屋台文化の名残から「安くて早い一杯」を志向してきた歴史があり、ボリューム感のわりに価格は700〜900円台に収まることが多いのも特徴です。

「生卵前提」の一杯という独自文化

徳島では、生卵がデフォルトトッピングまたはオプションとして用意されている店が多く、卵を溶いてスープに混ぜることでまろやかさとコクが増します。卵のおかげで脂と醤油の甘さがやさしくまとまり、「丼ですき焼きを食べているような」満足感が生まれます。

特に茶系では「生卵まで入れて完成形」と考えるファンも多く、カウンターに生卵が山積みになっている店も珍しくありません。地元の常連客は、ラーメンと一緒に小ライスを頼み、「卵+スープ+ご飯」を一気にかき込むスタイルを“徳島流”として楽しんでいます。

他のご当地ラーメンとの決定的な違い

博多の白濁豚骨や家系ラーメンの濃厚醤油と比べると、徳島ラーメンの決定的な特徴は、甘辛い醤油ダレと豚バラ肉の存在感、生卵とのセット感にあります。ご飯を前提にした食文化が色濃く表れているラーメンです。

博多ラーメンが替え玉前提の「麺で満腹」スタイルだとすれば、徳島ラーメンはチャーシューの代わりに豚バラ肉を使い、濃いタレで「おかず性」が非常に高い、「ラーメンという名の定食」ともいえる構造です。屋台発祥という点では博多と共通しつつも、「甘辛醤油+豚バラ+生卵」で独自性を打ち出し、全国のご当地ラーメンの中でも“すき焼き系ラーメン”として唯一無二のポジションを築いています。

茶・白・黄――3つの系統をざっくり比較

一目でわかる徳島ラーメン3系統の特徴

  • 茶系:濃いめの甘辛スープに豚バラたっぷり。すき焼き感が強く、ご飯必須派向け。
  • 白系:あっさり寄りで透明感のある豚骨+醤油。戦後屋台の流れをくむクラシックスタイル。
  • 黄系:鶏ガラや昆布の旨味を効かせたまろやかタイプ。バランス重視で食べやすい系統。
系統 スープの特徴 味わい・イメージ こんな人におすすめ
茶系 豚骨+甘辛醤油、濃い茶色で油とコクが強い すき焼き感MAX、ご飯が止まらないこってり系 白ご飯と一緒にガッツリ食べたい人
白系 白濁しすぎない豚骨+キレのある醤油 あっさり寄りでクラシックな中華そば感 スープ本来の旨味を楽しみたい人
黄系 鶏ガラや昆布の旨味が立ったまろやかスープ バランス重視で食べやすい新しめのスタイル こってりすぎるのが苦手な人・初徳島ラーメンの人

この3系統は、スープの炊き方やタレの配合の違いから自然発生的に分かれてきたもので、「茶・白・黄」という呼び方が観光客向けに広まったのは比較的最近のことです。茶系は新横浜ラーメン博物館への出店などで全国的に知られるようになり、白系は戦後から続く老舗に多く見られます。黄系は鶏ガラを立たせた、比較的新しいスタイルといわれています。

どこまでが「徳島ラーメン」?地元での感覚

店や世代によって「どこまでを徳島ラーメンと呼ぶか」という線引きは異なりますが、「豚バラ+醤油ベースでご飯に合うかどうか」が共通の基準として意識されています。

一方で、鶏ガラを前面に出した黄系や、辛味噌・魚介ダシを組み合わせた“進化系”も増えており、「徳島ラーメンの枠をどこまで認めるか」は店主同士でも議論の的です。地元では「豚バラがのっていて、甘辛い醤油ダレでご飯が進めば徳島ラーメン」という、ざっくりとした受け止め方が主流で、厳密な定義よりも“徳島らしさ”を重視する傾向があります。

茶系:すき焼き感MAXの“白ご飯必須”ラーメン

茶系スープの正体:豚骨+甘辛醤油のコク

茶系の本質は、長時間煮出した豚骨スープに、甘みのある醤油ダレをしっかり効かせた濃厚な味わいにあります。油分と糖分が多く、ひと口で飲みごたえを感じられるスープです。

豚骨は背骨やゲンコツを強火で炊き、乳化した脂とコラーゲンでスープに厚みを持たせます。ここに地元醤油と砂糖・みりんをベースにした“継ぎ足しダレ”を合わせる店も多く、創業から半世紀以上同じタレを守る老舗では、スープ表面に独特の照りと深いコクが生まれます。

豚バラ肉の甘辛煮込みが生む「すき焼き感」

豚バラ肉は醤油と砂糖で甘辛く煮込まれ、その甘さがスープ全体にも滲み出します。肉の旨味とタレの甘みこそが、すき焼きを思わせる一番の要素です。

徳島ラーメンでは、一般的なチャーシュー(焼き豚)ではなく、薄切りの豚バラ肉を使うのがポイントで、鍋で煮込む工程もすき焼きに近い発想です。タレの味は店ごとに微妙に異なり、「甘さ強めで白飯が止まらないタイプ」から「やや辛口でビールにも合うタイプ」まで、個性の差が常連客の好みを分ける要素になっています。

生卵を落とした瞬間に完成する一杯

茶系のラーメンに熱々のスープを注ぎ、生卵を落として混ぜると、コクとまろやかさが一気に増し、甘辛さの角がとれてご飯との相性が劇的によくなります。これを「完成形」と考える人も少なくありません。

卵黄の脂質が豚骨スープの油と一体化し、卵白のたんぱく質が塩味を包み込むことで、味わいが丸く立体的になります。生卵を箸で軽く崩し、半熟状態を残しながら麺や豚バラ肉をくぐらせて食べると、すき焼き鍋の“最後の一口”のような濃厚な満足感を味わえます。

茶系の老舗と新世代店、それぞれのスタイル

茶系の中でも、老舗と若い世代の店ではスタイルに違いがあります。老舗は継ぎ足しダレによる深いコクが持ち味で、若手店は甘さや脂のバランスを調整して食べやすさを重視する傾向があります。

戦後の屋台から続く店では、豚骨と鶏ガラをブレンドしたベースに、何十年も受け継いだ秘伝ダレを合わせることで、濃厚ながら雑味の少ない味わいを実現しています。一方、若い世代の店では、ニンニクや唐辛子を効かせたピリ辛仕様にしたり、背脂の量を控えめにして女性客や観光客でも食べやすくしたりと、同じ茶系でも“ヘビー級”から“ライト級”まで幅広いスタイルが生まれています。

白系:戦後屋台の記憶を残すクラシック徳島ラーメン

白濁しすぎないスープとキレのある醤油感

白系は、乳化度を控えめにした豚骨スープに、キレのある醤油を合わせたあっさり寄りの味わいが特徴です。香りがよく、飽きのこない一杯として親しまれています。

戦後まもない頃、両国橋周辺に立ち並んだ屋台では、限られた材料で素早くスープを仕上げる必要がありました。その名残から、白系は博多ラーメンのような強い白濁ではなく、やや透き通った「白濁手前」の状態で火を止めることが多く、軽快な飲み口ながらもしっかりと骨の旨味を感じられます。

茶系との境界線

白系と茶系の境界は、甘さと脂の強さにあります。醤油ダレが控えめで、豚バラ肉もシンプルにのせるスタイルは白系寄りといえます。

同じ店でも、タレの量や炊き時間を変えることで「こってり(茶系寄り)」「ふつう(白系)」を出し分けていることがあり、地元の常連客はその違いを楽しんでいます。スープの色が淡く、表面の脂が薄めで、口に含んだときに「まず塩味と骨の旨味が来る」タイプは、白系と考えてよいでしょう。

生卵を入れない“素顔の徳島ラーメン”としての楽しみ方

白系の醍醐味は、生卵を入れずにスープ本来の輪郭を楽しめることです。香味野菜やネギを合わせて、爽やかに食べるのがおすすめです。

徳島ラーメンというと生卵のイメージが強いかもしれませんが、白系の老舗では昔ながらの「中華そば」として、ネギ・メンマ・少量の豚バラだけをのせたシンプルな一杯を注文する常連も多く見られます。

まとめ:まずは茶系+生卵+白ご飯で“徳島スタイル”を

徳島ラーメンは、「豚骨+醤油+豚バラ肉」を土台にしながら、茶・白・黄の3系統それぞれが異なる表情を見せる一杯でした。中でも茶系は、甘辛いタレと豚バラ煮込み、生卵がそろってこそ真価を発揮し、白ご飯と合わせたときに“すき焼き感”が一気に高まります。

一方で、戦後の屋台文化を色濃く残す白系は、生卵を入れずにスープそのものの輪郭を楽しむ「中華そば」的な立ち位置。黄系や新世代のアレンジ系も含め、「ご飯が進む豚バラ醤油ラーメン」というゆるやかな共通項の中で、店ごとの工夫が育まれてきました。

観光で訪れるなら、まずは茶系+生卵+白ご飯で“徳島スタイル”を体験し、次に白系や黄系でクラシックから新顔まで食べ歩いてみると、徳島ラーメンの奥深さをより楽しめるはずです。

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