ふわりと香るよもぎの香りと、もっちりとした食感が魅力の草団子。春先の参道や和菓子屋で見かけると、季節の訪れを感じますよね。今回は、そんな草団子の特徴や、よもぎの栄養、草餅との違い、おうちで楽しむコツまで、たっぷりご紹介します。
春を告げる草団子って、そもそもどんな和菓子?
草団子の基本(材料・見た目・味の特徴)
草団子は、ヨモギを練り込んだ緑色の団子で、上新粉(米粉)や白玉粉を使って作られることが多い和菓子です。見た目は淡い緑色で、香り高く、もっちりとした食感が特徴です。砂糖でやや甘めに仕上げるのが一般的で、あんこ・きなこ・黒蜜との相性が抜群です。
とくに寺社の門前町では、その場で蒸し上げた温かい草団子に、たっぷりのあんこをのせたスタイルが定番で、ほろ苦いヨモギと優しい甘さのバランスが楽しめます。最近はグルテンフリー志向から、小麦粉を加えず米粉100%にこだわるお店も増えています。
「草団子」と「よもぎ餅」は同じ?違いを整理
呼び名は地域や製法によって混在しますが、一般的には次のように区別されることが多いです。
- 草団子:
上新粉や白玉粉を使い、団子状に小分けして串に刺すことが多い - よもぎ餅:
もち米を搗いてヨモギを混ぜたもので、より伸びのある餅らしい食感が特徴
草団子は噛み切りやすく日常のおやつ向き、よもぎ餅は端午の節句の供え物など「ハレ」の場面で用いられてきました。
草団子に欠かせない「よもぎ」のヒミツ
よもぎの香り成分とリラックス効果
よもぎの香りは、シネオールなどの精油成分によるもので、嗅ぐだけで落ち着くと感じる人も多い香りです。こうした香りはリラックス効果を促し、和菓子としての季節感や癒やしを与えてくれます。
春先の若いヨモギほど香りが穏やかで爽やかになるため、草団子づくりではヨモギを収穫するタイミングがとても重要視されています。
薬草として重宝されてきたよもぎ
よもぎは古くから薬草として利用され、抗酸化作用や消化促進、血行促進などが期待されてきました。端午の節句に用いられる風習もあり、邪気払いの意味合いも持ちます。
奈良・平安時代には「草餅」として宮中にも献上され、江戸時代には庶民の間で「毒消し」「厄除け」として親しまれました。ヨモギに含まれるクロロフィルやビタミン類は現代の健康志向にも合っており、薬草としてのイメージが草団子の人気を後押ししています。
草団子の驚くべき栄養価
食物繊維たっぷりで腸活にもおすすめ
よもぎには食物繊維が含まれており、団子に混ぜることで腸内環境を整える手助けが期待できます。一口サイズでも繊維を摂ることができ、米粉ベースで油脂分が少ないため、揚げ菓子に比べて軽いのも魅力です。甘いものを我慢しがちな腸活中でも取り入れやすい和菓子といえます。
ビタミン・ミネラル・ポリフェノールの働き
よもぎにはクロロフィルやビタミン類、ポリフェノールが含まれ、抗酸化作用や疲労回復のサポートに役立つとされています。とくにクロロフィルは「緑の色素」として知られ、体内のサビを防ぐ働きが期待されています。ヨモギ特有の深い緑色は、その豊富さの目安にもなります。
カロリーは?ダイエット中でも食べていいの?
草団子は素材がシンプルで、1個あたりおおよそ80〜150kcal程度が目安です。砂糖やあんこをたっぷり使うとカロリーは増えるので、ダイエット中は砂糖控えめの商品を選んだり、きなこで甘みを補ったりするとよいでしょう。
米粉100%・添加物不使用の草団子なら、小麦アレルギーが気になる人や、グルテンを控えたい人にも選びやすいおやつになります。
草団子とお餅の「深い関係」
原料の違い:団子(上新粉)と餅(もち米)
上新粉は精製した米粉で、軽めのもっちり感が特徴です。一方、もち米は粘りと伸びが強く、しっかりとした餅らしい食感になります。
草団子は上新粉にヨモギを練り込んで成形し、蒸して作られます。よもぎ餅は蒸したもち米を搗きながらヨモギを加えるため、同じ「草」の名がついていても、食感や扱い方は大きく異なります。
食感・腹持ち・栄養の違い
餅のほうが噛みごたえがあり腹持ちも良い一方、上新粉の団子は軽く食べやすいので、おやつ向きです。栄養差は大きくありませんが、餅のほうがやや炭水化物が多くなります。
草団子は1個ずつ個数で量を調整しやすく、甘さもトッピングで変えられるため、血糖値が気になる人には分量管理がしやすいという面もあります。
どっちを選ぶ?シーン別おすすめ
手軽なおやつには草団子、満腹感を得たい軽食や運動前後にはよもぎ餅がおすすめです。参拝や観光の合間にさっとつまみたいときは串刺しの草団子、自宅での祝い事や節句にはよもぎ餅と、シーンや目的によって使い分けると楽しみが広がります。
どうやって作られる?草団子ができるまで
よもぎの下ごしらえ(収穫・アク抜き・ペースト化)
春の新芽を摘み、さっと湯がいてアクを抜き、細かく刻むかペースト状にします。この状態で冷凍保存も可能です。伝統的なお店では、春のごく限られた時期に採れた国産ヨモギをまとめて下ごしらえし、香りが落ちないよう急速冷凍して一年分をまかなうところもあります。
生地作りから成形・蒸し上げまで
上新粉に刻んだよもぎと水、砂糖を混ぜてこね、小さく丸めてから約15分蒸します。冷ましてから串に刺せば草団子の形になります。老舗では蒸籠(せいろ)を使い、蒸気のあたり方や時間を細かく調整することで、表面はなめらかで中はやわらかく、締まりすぎない理想の食感を追求しています。
家でも作れる?簡単レシピのコツ
家庭で作るときのポイントは、よもぎのアク抜きと粉の水加減です。生地がべたつくときは、片栗粉を少々振ると扱いやすくなります。市販の冷凍ヨモギや「よもぎパウダー」を使えば、下ごしらえの手間を省きながら、通年で草団子作りを楽しめます。
さらにおいしく&ヘルシーに楽しむ食べ方
あんこ・きなこ・黒蜜…相性バツグンのトッピング
定番のあんこやきなこ、黒蜜を合わせることで、甘さや風味の違いを楽しめます。関東の寺社周辺では、こしあんをたっぷりのせたスタイルが主流です。
一方で、東国三社エリアのように味噌だれや黒蜜を組み合わせた三色団子風のバリエーションもあり、食べ比べを楽しむ人も増えています。
緑茶・ほうじ茶など飲み物とのベストペアリング
抹茶や緑茶はヨモギの香りとの相性がよく、ほうじ茶は草団子の甘さを引き締めてくれます。ヨモギの青い香りは煎茶や玉露の若々しい香りと重なるので、春の新茶と合わせると、一層季節感が際立ちます。
カフェでは、抹茶ラテやほうじ茶ラテと合わせた「和カフェ風」セットとして提供されることも増えています。
ヘルシー志向におすすめのアレンジ
砂糖を控えめにして、きなこやナッツでアクセントをつけると、満足感はそのままにカロリーダウンが可能です。上白糖をきび糖や黒糖に替えたり、甘さをおさえてヨモギの苦みと香りを前面に出した「大人向け草団子」も、健康志向の和菓子店で増えています。
米粉100%・乳製品不使用にすれば、ヴィーガン対応スイーツとしても楽しめます。
草団子と日本の行事・季節のくらし
春を告げる味:彼岸・花見・端午の節句とのつながり
草団子は、彼岸や花見、端午の節句に食べられることが多く、春の季節感を感じさせる和菓子です。古くはヨモギの強い生命力にあやかり、厄除けや無病息災を願って春の節目に供えられてきました。
桜餅や三色団子と並んで「春の和菓子」の代表格として親しまれ、学校給食や地域行事でもたびたび登場します。
西新井大師など、草団子が名物の寺社と門前町文化
西新井大師などの参道では、草団子が名物として古くから親しまれており、観光土産としても人気です。とくに東京・足立区の西新井大師門前では、江戸時代から草団子が名物となっていて、老舗「田口屋菓子舗」のように、国産ヨモギと上新粉にこだわり、無添加で作り続けるお店もあります。
参拝客は牡丹園の花見や寺社巡りとともに草団子を味わい、その土地ならではの食文化と信仰が一体となった門前町の雰囲気を楽しんできました。
まとめ:よもぎ香る草団子で、春の恵みを味わう
草団子は、ヨモギの香りと米のやさしい甘さがひとつになった、春ならではの和菓子です。上新粉を使った軽やかな食感は日常のおやつ向き、もち米を搗いたよもぎ餅はハレの日のごちそう向きと、用途によって選び分けられてきました。
ヨモギには食物繊維やビタミン、ポリフェノールが含まれ、古くから薬草として親しまれてきた歴史もあります。腸活やグルテンを控えたい人にも取り入れやすく、トッピングや甘さを工夫すれば、ヘルシーなおやつとして楽しめます。
春の新芽をゆでてアク抜きし、生地に練り込んで蒸し上げるという、素朴ながら手間のかかる草団子づくり。その背景には、季節の恵みを逃さず味わおうとする知恵や、厄除け・無病息災を願う人々の思いが、今も受け継がれています。

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